番外ーさらに

東京外環の工事の裁判で、差し止め判決が出た、という話のまとめのさらに追加。

 

工事の差し止めは部分的のものなので、これを全線に向けての差し止めを求める抗告を高裁に申請した、というのが3月14日。主な根拠としては、部分差し止めの理由が特殊な地盤というのなら具体的な再発防止策を示すべきでそれを提出しただけでは住民の生活の安全確保に影響を及ぼす、というもの。

 

今後の裁判の動向には注目が必要だろう。そしてなんといっても、部分的差し止めに対しての事業者側の異議申し立てはどうなるか、抗告はなされるのか、である。

普通はこういった訴訟に関しては即時に抗告がなされるもの、工事が実際に始まっている以上は事業者側も引けないという事情がある。

 

にもかかわらず、2月の差し止め命令から半年、まったく事業者側は動きを見せていない。これは不思議な展開だろう。というのも、差し止め命令が出たその他の区間は普通に工事が続行されているから。

 

安全対策を提出した以上はすぐにでも工事の再開を目指して抗告し、全線での工事再開を実行に移すのが最優先のはず、これがどうして何の動きも見せていないのだろう。

もはや再開をあきらめた、はずもないのは他区間での工事の続行からも明らか。

というと、が次回のテーマ。

 

事故の話ー番外

リニア工事で事故が続いて再開のメドもたたない、という話が続いたが

東京外環工事での訴訟の話をまとめてみる。

 

東京の外環工事はあの大都会の真下の工事で、多くの住民が暮らしているその中での工事。慎重に慎重を重ねて進めなければならないはずの工事で、住宅街のど真ん中、一般民家の正面で大規模な陥没事故が発生した。

 

こういった事故ではその責任を認めようとしないのが国策、お役所仕事ではあるがさすがに、当社とは無関係とは証明できない、と実質その責任を認めてきた。まあ当然ではあるが、これもある意味重要な点ではある。

 

その後工事差し止めを求める住民訴訟が起き、この仮処分申請に対し、差し止めを認める判決が出た。陥没事故が起きたのが2020年10月、そして画期的な差し止め命令が出たのが2022年2月28日、1年半ほどかかってはいるが事業規模の大きさを考慮すると迅速とは言って良い判決だろう。

 

大きな論点は二つで、工事の続行は住民への被害が予想され人格権等の侵害であるもの、具体的な再発防止策がない、という点。このためシールド工法での工事が差し止められ、裁判所の判断がない限りその再開は認められないという状況になっている。

 

現在の時点でまったくその後の進展がなく、当然だが該当地区での工事は中止になったままである。このあたり、もう少し考えてみたい。

 

 

また事故?

このところ、春日井などでのシールド工法の事故の話ばかりが続いてきたが

東京の外環工事でもまた事故があったという。

 

半年前だが、新聞等ではあまり大きく報道されないのはいつものことなのか、知る人も少ないようではある。

 

今年の3月のことで、これはシールド工法では、自ら地中壁を作りながら工事を進めていくのだが、その自分で作った壁に衝突、破損事故を起こしたというもの。

破損というか、自損事故、でありどういったらこういうことが発生するのか、不思議なぐらいである。

 

前方をモニタリングしながら安全に安全を重ねての工事、というのが基本中の基本にもかかわらず、それれが機能していなかった、ということか。地中壁の設計ミスであって特殊な地盤が原因、という説明があったというが、地盤というのは全てが異なるもので特殊と言えばすべてが特殊だろう。そのたびごとに事故を起こしていては問題である。

 

今回もその事故現場まで地表から掘り下げその個所を修理する、ということで半年ほどかかる、という。これだけでも遅延というのは大変な不手際だろうに、本当に半年で再開できるのか、また同じことがおきるのでは、と考えていたらまったくキリのないこと。

 

ましてや、この工事は一般住宅地の地下で起きていることである。そのあたりがさらに大問題である。

春日井工事速報

 21年度中に始めるはずの工事が、22年度になっても開始されずそれどころか点検等をしている、といってた話の矢先、JR東海から発表があった。

 

7月に準備作業の一環としてシールドマシンを作動させ切削を始めたところ、そのマシンのカッター部分に損傷を確認し、工事が中止しているとのこと。

だいじょうぶなのか、この工事。

 

遅れていた、ということは準備に準備を重ね満を持しての再開という事だろう。それがいきなりの不具合である。

しかも、カッター部分とはマシンの最重要部分、ここに不具合とは、今までの準備等がすべて無駄になったという事だろう。

 

また、前回などで再三述べたように深深度の工事はまったくの未知数でこのシールド工法が対応できるかどうかもわからない、といった不安材料がある中でのカッター部分の損傷である。

根本的に工法が対応できてない、ということになってくる。

 

発表では、その部分の形状等の見直し、再確認、の上の対応ということだが、そう簡単ではないだろう。少々の変更で対応できるようなら、損傷カッターを交換するなどでも対応できる。そうではなく、基本的な設計からの変更となれば安全性の確認などさらなる時間がかかってくる。それもそう簡単ではないであろう。

 

発表では、工事に遅れが生じる、ということも認めているが、遅れで程度で済むものなのか。心配である。

品川工事も!

前回は春日井市の掘進工事が今年度になってもまだ開始されていない、という話。

単に春日井市の地盤等の部分的な問題かと思ったら、なんと品川工区でも工事が遅れているという。

一体どうなっているのか。

 

今年の3月までの調査として300mを掘り進める予定が、50mのところで不具合が見つかり中止されたままという。

その後の詳しい説明などもないまま、不具合、としか報道もなされていないようだが、これは春日井の工事の遅延とも関連して重要な問題が発生しているのではないか。

 

5月の時点では社長が、しっかり点検しなくてはならない、と発言しており、マシン自体になにか異常が認められている、ということを連想させる。

深深度工事自体に対して、シールド工法が通用しない、ということにでもなったら、リニア計画自体の存続にも関わってくるだろう。

これは由々しき問題ではある。

 

通常の工事ではシールド工法はそれなりに効率の良いシステムと認められてきたようではあるが、深深度に対しては未知数である。JR側としては特に問題もないという大前提で始めてはみたが、通用しない部分もある、ということなのだろうか。

 

いかにも軽率に思える計画であるが、実際に十分な説明もされず、工事が半年近く遅れたままというのは、これもある意味異常な事態とも言える。

工事自体に暗雲立ち込めてきたのか・・

 

春日井工事

春日井では昨年末から何度も住民説明会が行われ、工事開始への下準備が行われていた。

その工事の調査掘進、今年の2月には終了し工事を開始する予定だったが、いまだに始まっていないという。

 

確認すると3月の時点で発表があり、終了どころかまだ調査掘進が始まってもいないという。そして、本工事開始も今年度以降になってから、という発表もされていた。

これはどういうことか。

 

JR東海側は、シールド機の補強、調整をしている、とのこと。これも理解できないこと。

そういった基礎準備は既に終了しているのが当然。でないと調査などできたものではない。それを今さら、調整中、というのではシード工法自体に問題があるのを認めているようなものだろう。

 

今年度といってももう半分を過ぎ、まだ開始の発表もなく調査掘進の予定もたっていないようである。

単なる確認という意味での補強や調整というのにはあまりに時間がかかりすぎている。

 

思い当たるのは、東京での外環工事の裁判の判決である。シールド工法では工事の再開は認められない、ということで、何らかの工法自体の変更などがされているのではないか。

 

今までは東京での陥没などの事故は、土壌のせい、ということで判決はそれに対応したものであろう。それが、東京のみならず他の工事でも問題が起きることが予想され、その補強、調整に時間がかかっっている、ということなのか。

これは工事自体に影響する非常に大きな問題である。

 

 

静岡とばし

以前よく言われたのは、静岡がリニア工事に反対するのは、のぞみが止まらない、という県民のうらみであるという話。

 

単純にはのぞみが静岡県内に止まらないのは利用客が少ないというそれだけの理由で、これはこれで普通に説得力のある理由だろう。

ただ、JR東海自体は、タイアップというか地域地方との協力で盛り上げていこう、という発想や行動が無いのは有名なところ。

 

西武のように、駅を作ってそこに巨大住居地を誘致、巨大スーパーを作って街づくりをしながら儲ける、という大きな視点がないということで、これは旧国鉄からの体質でもあるだろうし、単体で利益が大きすぎて他にロスクを負う必要がない、というこれまたシンプルなところに話がまとまる。

 

静岡の場合、のぞみが止まらないだけでなく、通過するためにひかりこだまが停止する必要がある、というのがかわいそうなところで、損すらしている、という言い方も出来るかも。

以前の知事が、のぞみ通行税を取る、と言い出して物議をかもしたが、これなどは、自分たちは損しているという被害者感覚でもあるだろう。

 

利用客が少なく人口も少ないのでは、のぞみがとまらいのも当然と言えば当然で、それを、損をしている、とか税を取る、というのはまるで逆恨み。にもかかわらずそれが県民の一般的な感情というのではリニア側もたまったものではない。

 

 

しかし、この一般的な感情、というのがくせもので、その、さかうらみ、に関連する令和どころか近代日本史に残る大事件も発生。根は深いところである。