真意の前に

中日新聞のニュースを問うという特集記事を、さらに考える、というその続き。

 

知事の真意は?、の前に知事の行動が良く判断できない、という前提があって、その行動を時系列に追うと少しは川勝知事の発想、考え方がわかるのではないか、というのが、自分も書いてきたし記者さんの問題意識でもあるのだろう、ここから記事は始まる。

 

まずは7月にリニア建設促進期成同盟会に入会する。これは、いわゆるリニア賛成派、推進派の会であり、リニア建設をより促進しようとする該当地区関係者の集まり、どうしてそこに反対派の知事が入会したのか。

 

入会するにあたってもすんなりと決まったわけではなく、反対派の知事がなぜこの会に入会?、とそれこそその真意をさぐるようなニュースもあった。

ついに知事が反対の立場から、考えを変更しようとするのか、などの楽観的な見方も出ていた。今まで反対派として選挙に勝ってきた以上は、単に賛成派にくらがえ、というわけにもいかず、その温度差を埋め合わせるための期成同盟入りか、というわけである。今にして思えばなんともお花畑的なとらえ方ではあったが。

 

さらに知事は入会後に、自分は反対派ではない、と表明、周囲にその変化への期待をうかがわせた。

ところが、そこからの行動がこれまた意表をつくものではあった。

 

知事の真意は?

ここ数回、川勝知事の発言や活動を取り上げてきた。知事という立場にもかかわらず積極的にリニア問題に関わる行動をとりあえず確認し、その意味や今後の動向を注視していく上での参考にしたい、ということだったのだが、まさにそういった記事が新聞に載った。

 

中日新聞の朝刊、ニュースを問う、というテーマで、その時々の少し過去の話題になったニュースを振り返る、といった感じの4段囲みの特集記事で、これまでもその視点はなかなか面白いと思っていたところ。ニュースというのは報道されてもすぐにその後の詳細などは大きく報道されることは少なく、報道しっぱなし、というマスコミも多い中、忘れてしまうことなくその後を追跡する姿勢は責任という立場からも好意的にとらえるべきだろう。

 

さて、この記事でまさに、ここのところの一連の知事の発言に注目、大きく見出しで「リニアあつれきを生む発言」と載せ、その発言を「読み解くのは難しい」とリードで振り返り、その真意をさぐろうとしている。

 

この見出しも実に意味が深いようにも思える。あつれき、と知事の発言を否定的にも取れるような紹介の仕方だが、「真意をさぐる」というのは様々な視点から考えてみる、ということにもつながり、これはこれで知事の応援というようにも受け取れる。

 

この記事、さらによく考えてみたい。

裁判官ー視察

ついに、というかストップリニア訴訟の担当裁判長と担当官二人が山梨実験線の現場を視察。ここまで来るのに2年かかったという。

 

この現場視察は原告側が強く要望していたもので、なかなか実現しなかったのだが、コロナも一段落、ようやく重い腰を上げてくれたというところだろうか。

現地見分という形ではなく、進行協議ということになったという。具体的にどういう違いがあるのかは不明だが、まずは判決に向けて良いニュースではある。

 

現地での進行協議ということで、視察中の接近取材や収録、写真撮影は厳しく規制され、その後にマスコミなどに向けた野外記者会見が開かれた。そこで原告団が質問に答えたというのだが、それなら視察中の取材も許可すればより明解だろうに、これは裁判官たちの顔バレ防止という意味もあるのだろうか。

 

視察は4か所におよび、車両基地建設に隣接する人、その畑などだったという。皆、騒音、振動の被害を訴え、畑では地下水に影響、農業用水が従来通り確保できなくなり、被害が出たことを報告したという。

対して、裁判官は熱心に真剣な表情で各住民の訴えに耳を傾けていたのが印象的だったと、原告団は語っている。

 

さらなる詳細はニュースで報告されるというので、これを待ちたい。

 

知事ー怒る

川勝知事が神奈川側の運営予定地を視察したらまだ半分も用地買収が

すんでいなかった、という話。

 

それを踏まえた上での、東京ー神奈川間のリニア部分開業を、という提案もかなり大胆というよりは挑発に近いぐらいではないか、とは思うのだが、さらに川勝知事が踏み込んだ発言をした。

 

静岡の定例記者会見で、2027の開業が遅れるのは用地買収の遅延も含めた神奈川側の責任である、というものである。

 

今まで、リニアの部分的な工事が遅れている、または開業予定すら予定通りいかない、というのは静岡側の責任というスタンスで、国やJR東海、推進派は発言を繰り返してきた。

工事許可を出さないのは静岡県であり、リニアという国家的大プロジェクトを一方的にとめているのは唯一静岡のみである、という静岡悪人説にも近いぐらいの姿勢をとってきた。

 

これに対し、知事は真っ向から新しい立場を表明というぐらいで、工事を始めるどころか用地買収すら進んでいないのは静岡以外の他県であり、開業予定の大幅な遅れは静岡の水資源確保問題とは全く関係がない、他県の事情である、ということである。

 

発言からほぼ一か月、推進派は特に反応したりコメントは出していないようだが、それも当然で、対論を出しようがないのであろう。

 

さらに、新たな展開を見せていく。

知事ー視察

前回は川勝知事の、リニア部分開業提案、について。

かなり大胆な発言で、国やJR東海を小馬鹿にしたようなものだろう、というところまで。

 

その後、知事は神奈川の工事予定地を視察した、というニュースがあった。そこで知事はびっくり仰天、工事がすぐにでも着工されるべくその準備がはかどっているかと思いきや、なんとまだ用地の買収もすんでない、という状態だったというもの。

 

これは知事ならずとも驚くのも当然で、計画が発表されてから11年で完成、2027年に開業予定のはずが、まだ用地の買収もすんでないというのは何事か、ということ。

今から11年かかるのか、それも確実なのか、ということである。

 

これに対しJR東海は、トータルで11年という予定で買収に時間がかかるのは織り込み済み、というような回答である。しかし、まともに受け取る人など誰もいないであろう。

全体でも工事予定の半分も買収がすんでいない、というのが実情で、これでは本当に予定通り2027年の開業と言っても額面通りに理解など出来ないのが普通だろう。

 

さら考えると、前回の部分開通案、これは知事が神奈川側の遅延を知っていての発言ではなかろうか。部分でもなんでも開通可能ならまずしてみなさい、という挑発である。

 

さらにこの話、新たな展開をみせていく。

部分開通

静岡の川勝知事、工事を許可せずに反対派から見るとまさに

注目の的、どころか救世主と言っても良い存在だろう。

この知事が先日またも新規に注目の発言をした。

 

静岡が許可しなくとも東京ー神奈川間で部分開通をすればいい、というものである。

これは一種の爆弾発言で、静岡はもうリニアを重視していない、というよりは

不必要レベルと考えていることの表明でもあろう。

 

さすがに神奈川知事などがすぐに反応、それでは意味がない、という主張をしたが、これは当たり前のことであって、川勝知事自身がそれに気づかないはずがない。相当に踏み込んだ大胆な発言ではあった。

 

元よりリニアというのは東京ー名古屋間の時間短縮、さらに大阪間の時間短縮を図ったものであり、東京ー静岡間のみの開通などまったく意味がない。両地区を結ぶ交通手段などいくらでもあり、わざわざリニア使うのはかえって時間がかかるというぐらい。

なので、このアイデア?は実にユニークでもあり、よく発言できたものだと感心するほどである。賛成派を小馬鹿にしたとすら言える。

 

もっと考えると、まず東京や神奈川で完成走らせてみなさい、という挑発とも取れる。

静岡が反対、許可しなくとも問題は山積みであり、本当に2027から少し遅れた程度で全線開通など出来るのか、ということである。

 

さらにこの話題が続きがある。

外環工事ーこれで最後

外環工事の概観のはずが、工事差し止めを巡る状況が非常に異例とも

言える様相なのでつい何度も触れてしまっており、今回こそそのまとめ。

 

判決が出て、被告側の敗北と言える内容の差し止めとなったわけだが、その後の動きとして実は被告側何の動きも見せていない。

抗告という手段に出るのが普通ではあるだろうに、そういった動きが全く見られない。

これはどうしてか。

 

単純に、原告側が高齢でもありほかっておけば自動的にこの裁判は消滅する、とでも思っているのだろうか。

原告側も該当者が一人だけで、高齢であるのは事実。その原告の訴えを受け止めようとはせず、時間を稼いでそれで解決しようとしているのか。

 

判決が差し止めである以上はその効力は有効ではあるとは思われるが、裁判の担当者がいなくなれば、それはそれで別の解決策につながるということなのだろう。

 

同じく、部分的な差し止めではなく、全線の差し止めを求める抗告も行われており、こちらがどうなるか。部分だけでも工事が出来ないのなら、全線開通は不可能であり事業者側はどうしようもないのではあるが、それに対して抗告などの動きがないというのがこれもまた不可解なところ。

さらに、工事は続けられているというのもまして不可解なところで、リニアとますます似た状況になっている現状である。